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理念経営とは?具体的な事例やメリット・デメリットを分かりやすく解説

近年「理念経営(ビジョナリー経営)」に取り組む企業が増えています。長年続く企業に共通するのは、企業理念が常に進化し続けているという点です。理念を経営の軸に掲げる事で、競合や時代に左右されずに優れた成果を生み出す事が可能です。

目次[非表示]

  1. 1.理念経営(ビジョナリー経営)とは
  2. 2.経営理念・企業理念とどう違うのか
    1. 2.1. -経営理念はゴールではない
  3. 3.ポストコロナ時代に理念経営が求められる理由
    1. 3.1. -組織の分化を防ぐ
    2. 3.2. -人材の確保・育成
  4. 4.理念経営を掲げるメリット
    1. 4.1. -コミュニケーションコストの削減
    2. 4.2. -社員の離職防止・生産性向上
    3. 4.3. -一貫したサービスによりブランドの価値が高まる
  5. 5.デメリット・注意点
    1. 5.1. -継続的に取り組まなければ効果が発揮されない
    2. 5.2. -社員の不信感が募るリスクも
  6. 6.理念経営で成功している事例
    1. 6.1. -リクルート
    2. 6.2. -大塚製薬株式会社
  7. 7.まとめ:働きがいを重視する現代に欠かせない考え方


理念経営(ビジョナリー経営)とは

理念経営(ビジョナリー経営)とは、会社の理念を実現する経営の事を指します。

大企業などは独自の理念を設定し、それを組織文化に根付かせながら進化させてきたとされています。理念経営は基本的にこれを目指すものです。

「社員全員が生き生きとし、成長期だけでなく危機にも強く続く会社」を目指します。そのため、会社が大切とする価値観である理念を明確にして社員で共有する事により、実現を追及します。



理念経営を浸透させるのは難しい


理念経営を行うには、理念を浸透させなくてはいけません。しかし、理念は定めるだけで自然に浸透するものではないため、施策が必要です。理念経営が失敗する原因の一つが「理念を定めるだけで浸透施策を行っていない」事とされています。

また、「理念の内容が抽象的」という事も失敗の要因のひとつです。覚えやすいように短くまとめる事が多いですが、抽象的であいまいな言葉ばかり並んでいても、「具体的に何を言いたいのか」が分からなくなってしまいます。

さらに、「理念が時代に合ったものになっていない」という事例もあります。特に歴史のある会社ではありがちですが、古くからある理念をそのままにしていたら、時代にそぐわないものになっていたというものです。

時代に合っていない理念では、共感する社員も少なく、浸透させるのは難しいでしょう。



経営理念・企業理念とどう違うのか

理念経営とは、「理念」がすべての軸となります。意思決定などを行う際にこの理念を軸とする事で、社員全員が同じ方向を向いて物事に取り組めるようになります。

理念とは大きく分けて、「経営理念」と「企業理念」があります。企業理念も経営理念の主な違いは以下のようになるとされています。



企業理念


企業における根本的な考え方で、企業のあり方や存在意義などを明文化したものです。

企業の哲学といえるため5~10年単位で使用し、大きく変更される事はあまりありません。

企業は、顧客に対して価値や喜びを提供するために存在します。利益だけを重視し、人を不幸にする企業は「良い企業」とは呼べないでしょう。一時、利益を出せても、人や世の中に必要とされない企業は存続する事が難しいです。

そのため企業は、自社がどんな存在であるのか、何のために存在するのかを企業理念で明文化します。


経営理念


事業や利益を拡大し続けるための経営の目標や方針、手段を明文化したものです。

経営方針のため、経営者が変わると経営理念が変わる事もあります。

どのように「成長を続けるか」という観点が含まれるため、事業や顧客・利益の拡大を永続する方法を示したものが多いです。


ビジョンとの違い


企業理念や経営理念を定める際に「ビジョン」という言葉が出てくる事もあります。ビジョンとは、経営理念をベースとし、将来成し遂げたい事を言語化したものです。

一般的に、経営理念を踏まえた上で一貫した政策を行うためにかみ砕いたものが「ビジョン」として使われる事が多いです。

企業によって呼び方はさまざまですが、どれも企業の方向性を示すものです。



 -経営理念はゴールではない

企業理念は掲げた時点でほぼゴールですが、経営理念はゴールではありません。むしろスタートともいえるもので、社員が経営理念の実現に向けて頑張ってこそ、企業の価値が高まります。また顧客への提供価値も高まるでしょう。

経営理念の内容は、時代や環境の変化に合わせて変化する事も多いです。組織や事業の現状を正しく理解し、今後の方針を経営理念と一貫して再解釈する事が求められるでしょう。

内容が変化しやすいかどうかが、経営理念と企業理念の大きな違いとされています。

企業の基本的な考え方があってこそ、経営を行う上での考え方や方針、価値観などを定められる事から、企業理念の方が上位概念であると位置づけられるのが一般的です。

また、企業によっては企業理念と経営理念を明確に分けず、ただ「理念」としている場合もあります。



ポストコロナ時代に理念経営が求められる理由

新型コロナウイルスの影響によって、人々の生活は大きく変わりました。消費者ニーズの変化や市場環境の変化が起き、その変化に対応できる力が求められています。

さらに企業内部でも、コミュニケーションの取り方に変化が起きています。これらの変化を受け、企業は今後「ポストコロナ時代」をどう生き抜くかを求められています。

そんなポストコロナ時代に、理念経営が求められるのはなぜでしょうか。ここでは2つの理由をご紹介します。



 -組織の分化を防ぐ

理念経営を推進する事は、組織の分化を防ぐ事にもつながります。新型コロナウイルスの拡大は、企業内部に大きな変化をもたらしました。

多くの企業テレワークなどが導入され、社内でのコミュニケーションの取り方が変化したのです。テレワークはメリットも多い働き方ですが、個人の業務内容が把握しづらいというデメリットもあります。

社員がそれぞれ仕事を行う事が多くなり、組織としてバラバラになってしまう「分化」も起きやすくなっています。

そのため、理念経営によって理念を社員全員で共有する事で、「この企業に属する意味」を見出してもらおうとしているのです。個人が組織ひいては企業に属する意味や意義を見出す事ができれば、やる気も上がり、生産性向上も見込めるでしょう。

業績が厳しくなると、企業は苦渋の決断を下さなくてはいけない事もあります。そうした時、組織で理念や価値観が共有されていないと、現場の社員は経営陣の考えが理解できません。その結果、離職を選ぶ社員が増える可能性があります。さらに残った社員も、会社に不信感を持つ可能性があります。

大変な時、物理的に離れている時だからこそ、経営陣と社員が理念や経営方針について語り合う必要があるとされています。



 -人材の確保・育成

企業が明確な理念、そして理念経営を行う事で、人材の確保や育成にもつながります。企業が理念として明確な方向性を示せれば、幹部から社員へと理念が浸透します。社内での意識改革も進み、同じ価値観や目的を共有する事で、社内の士気や生産性の向上にもつながるでしょう。

そして、社員が自社のすばらしさを友人などにアピールする事で、口コミで企業の評判が広まり、良い人材が集まりやすくなる事が期待できます。

また理念経営が浸透する事で、理念経営に沿った人材を確保・育成しやすくなるでしょう。

新型コロナウイルスの拡大によって、ますます将来に不安を抱く人は増えています。そのため、大企業や人気のある企業に求職者が集中する傾向にあります。

そんな中で優秀な人材を確保し、育成するためにも、理念経営によって社員全体の士気を上げ、ひいては会社の利益や評判を上げる事が求められているのです。



理念経営を掲げるメリット

理念経営を掲げるメリットには以下のようなものが挙げられます。


 -コミュニケーションコストの削減

理念を浸透させる事で、社員同士に共通言語が生まれ、コミュニケーションコストの削減につながります。たとえば、経営や管理職が新たな判断をした時に、共通言語があればより効率的・効果的に伝える事ができるでしょう。

意図や個人に合わせた説明する手間が省けるため、判断コストやコミュニケーションコスト削減する事が可能です。



 -社員の離職防止・生産性向上

組織としての価値観などを明確化する事で、一体感や安心感が生まれます。今後、テレワークなどで相手が見えない状況下においても、共有する理念があるため「組織に所属している」という意識が高まるでしょう。それによって、社員の離職防止や生産性向上につながる事が期待できます。

離職率が高い企業では、企業理念や経営方針などが浸透していない事も多いとされています。また、企業理念や経営方針などがはっきり定まっていても、社員に浸透・認識されていないと、自社の将来性や自身の未来に不安を感じてしまう事もあるでしょう。

理念経営によって、理念や経営方針がきちんと策定・浸透できていれば、従業員も共同意識を持てるようになるでしょう。

また企業理念や経営方針は、上から無理に押し付けるのではなく、本当に理解・納得する事が大切とされています。



 -一貫したサービスによりブランドの価値が高まる

理念経営を継続する事で、一貫したサービスを提供でき、ブランドの価値を高める事が期待できます。理念を通して「このような理念のもとで経営を行っています」という信条や「〇〇のような社会の実現を目指す」というメッセージを社外に伝える事で、企業の社会的責任や魅力を発信できます。

さらに理念を社外に伝える事で社会的信頼を得る事もでき、ブランドイメージの向上にもつながります。

そしてブランド価値やイメージが向上すれば、「この商品を購入してみよう」「この会社と取引してみよう」と思う人が増え、顧客の獲得にもつながります。



デメリット・注意点

一見、メリットの多い理念経営ですが、デメリットや注意しなくてはいけない事もあります。ここでは理念経営のデメリットと注意点についてご紹介します。


 -継続的に取り組まなければ効果が発揮されない

理念経営は継続的に取り組まないと、効果を発揮しにくいでしょう。一度、理念を社内外に周知したとしても、継続的に行わないと、きちんと浸透するのは難しいでしょう。

継続的に取り組まなくては、理念が共有されず、プラス効果も得られなくなってしまいます。

理念は自然に浸透しません。理念を浸透できていない企業に共通しているのは「伝える動きを取っていない事」とされています。「自社の理念なのだから皆知っているだろう」と伝える施策すら行っていない企業も多くあります。

経営者は「決めているものだから」と思い、現場の社員は「理念は現場に浸透するものである」という事がそもそも認識されていないのです。

こうして生じた双方の大きなギャップが、のちのち離職率の増加などの問題につながっていくとされています。



 -社員の不信感が募るリスクも

経営理念や企業理念を定めていない状態で見切り発車したり、うまく浸透できなかったりする場合は、社員の不信感が募るリスクもあります。

理念を言葉にして浸透させるのは簡単ではありません。理念は、会社の方向性や価値観を定めるのですので、設定するまでに時間がかかります。そのため、「理念経営をする」と明言してから実際に理念が出来上がるまで時間がかかる可能性もあるのです。

その場合、社員に「この会社は大丈夫だろうか」と不信感が募っても不思議はありません。

社員の価値観や行動指針が定まっていない企業は、社員のモチベーションが上がらず、生産性も下がってしまうでしょう。



理念経営で成功している事例

誰もが知るような大企業では、理念経営が成功している事例が多くあります。

ここではその中から、「リクルート」と「大塚製薬株式会社」の事例をご紹介します。


 -リクルート

リクルートは、1988年の「リクルート事件」をきっかけに、企業としてのあり方を根本的に見直し、現在の経営理念を定めるに至ったとされています。

リクルートの経営理念は以下のように定義されています。

・ビジョン(目指す世界観)

 「Follow Your Heart」

・ミッション(果たす役割)

 「まだ、ここにない、出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。」

・バリューズ(大切にする価値観)

 「新しい価値の創造」「個の尊重」「社会への貢献」


経営理念はリクルートグループ全体に浸透しているとされます。

たとえば、リクルートでは何かあると「あなたはどうしたい?」と意見を問われる事があるそうですが、それには「個の尊重」の思いが体現されています。


理念浸透のために行った工夫


リクルートマネジメントソリューションズによると、全員が理念を共有するためにまずは「言語化」を行ったそうです。そして、共感できる仕組みを用意し、社員に内在化させるというステップを取ったとされています。

また、強い問題意識を持った社員を選出し、理念浸透のためのキーパーソンにした事で、少しずつ理念を浸透させたそうです。キーパーソンが社内の温度差を解消するためのポジションについた事で、スムーズに理念の浸透を行ったとされています。


さらに理念浸透のポイントとして「経営トップ層のコミットメント」を挙げています。経営理念は会社が目指す方向性を示したもののため、まずは経営トップ層がきちんと理念を理解し、メッセージを発信する必要があったそうです。

経営理念を定めて終わりにするのではなく、体現する事も大切です。

たとえば、理念を率先して体現化した社員を表彰すれば、社員も理念を身近に感じられます。

そしてリクルートのような大企業の場合、理念経営などの取り組みに関するプロモーション活動も行われています。



 -大塚製薬株式会社

大塚製薬グループの企業理念は、「Otsuka – people creating new products for better health worldwide(世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する)」としており、早くから世界を見据えたビジネス展開がなされていた事が分かります。

この理念には、「自らの手で独創的な製品を創る」「健康に役立つ」「世界の人々に貢献する」という思いが込められているそうです。


理念を体現したモニュメント


大塚製薬の社屋には、企業理念を体現した3つのモニュメントがあります。

このモニュメントを通して、社員やこの場所をと訪れる顧客に、企業理念と思いを送り続けているそうです。


・巨大なトマトの木

能力開発研究所には「トマトホール」と呼ばれる場所があり、数本のトマトの木から数千個のトマトが実っています。

1本の木は10メートル以上の茎を伸ばしていますが、これは特別な品種ではないとされています。従来種を水気耕栽培にして育てると、土に植えるよりも大きく育つのだそうです。

これは、トマトは土に植えるものだという「先入観の執拗さ」に気づいてもらうために植えられました。このトマトのように自らを開放すれば、まだまだ限りない可能性を発揮できる事を体現しているそうです。


・曲がった巨大杉

ヴェガホールと呼ばれるホールの入り口には、大きく曲がった杉が2本、不安定ながらもバランスを保って立っています。

こでは曲がらないはずの杉の木が曲がり、安定しないはずの2本の木が一点で止まって安定しているというモニュメントです。このモニュメントは、既成概念の打破や発想の転換などを現しているとされます。


・水に浮かぶ石

大きな石が水に浮かぶ姿を見られるモニュメントです。浮かんでいる石の中には、噴水の上に浮かんでいるものもあります。

曲線を描いた石は、人間に対する愛や人々の健康を願っている大塚製薬の精神を現しているとされます。そして見る者の心を豊かにする庭は、新しい発想をもたらしてくれるそうです。


「大塚オリンピック」の開催


大塚オリンピックとは、次期役員候補や経営幹部候補の社員が会社や経営方針についてたかる場とされています。ここでは、参加者本人だけでなく、人事部が参加者の強みを知る場として利用されているそうです。

大塚オリンピックでは、さまざまな環境に身を置く機会を作れます。疑似的に社員を普段とは異なる環境に置く事により、その人が「どんな価値観を持っているのか」「どんな行動を取るのか」「大塚グループの理解度はどれくらいか」が分かるそうです。

その社員の姿を、リンクアンドモチベーションの講師や面接や観察によって評価します。そして後日、結果帳票として本人に渡されます。

さらに、当日の各プログラム終了時には、講師がどの観点で評価を行ったのか、なぜその観点が必要なのかが伝達されます。この時に、大塚グループがこれまで下してきた経営判断や商品開発などのエピソードも加えられるそうです。

参加者は、当日のレクチャーや結果帳票などで、「自身の強み」「大塚グループの理解度」などが分かります。そして、結果帳票をもとに上司と面談を行い、強みをさらに伸ばすためのプランを議論するそうです。


大塚オリンピックの効果

大塚オリンピックを実施する事で、人事部は参加者の強みや弱みを理解する事ができました。また参加者自身も、自分がどれだけ自社を理解しているか、強みや弱みはどこかを知る事によって、行動を変化させた社員もいたそうです。

たとえば、ある部長は大塚オリンピックをきっかけに視野が広がり、経営幹部としての幅が広がったと感じたとされています。 



まとめ:働きがいを重視する現代に欠かせない考え方

理念経営は、仕事に働きがいを求める現在に欠かせない考え方とされています。人と人との関わり方がより変化した現代では、社員の共通認識となる理念は一層重要になっています。

ただし、ただ理念を決めただけでは意味がなく、浸透させる事が重要です。

理念を浸透させる事はノウハウがない企業だと難しい面もあります。そのため、まずは成功事例に倣って始めてみてはいかがでしょうか。







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