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RJPとは?採用のミスマッチや早期退職を防ぐ効果はあるのか

アメリカ発の採用理論である「RJP」は採用のミスマッチを防ぎ、早期退職者を減らす効果があるとされています。RJPには具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか、分かりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.RJP(Realistic Job Preview)理論とは
    1. 1.1.RJPが注目されるようになった背景
  2. 2.RJP理論の具体的な効果
    1. 2.1.ワクチン効果
    2. 2.2.スクリーニング効果
    3. 2.3.コミットメント効果
    4. 2.4.役割明確化効果
  3. 3.日本企業がRJPを取り入れるメリット
    1. 3.1.採用後のギャップを防いで離職率を抑える
    2. 3.2.求職者からの高い信頼を得る
    3. 3.3.職場の人間関係が良好になる
    4. 3.4.応募者の質向上とコスト削減効果
  4. 4.RJP理論のデメリット・注意点
    1. 4.1.ネガティブな情報公開によるイメージ低下リスク
    2. 4.2.人事部と受け入れ部署で認識を擦り合わせる
  5. 5.RJP理論を取り入れる方法
    1. 5.1.RJPの導入ガイドライン
    2. 5.2.RJP理論のおすすめ導入方法
  6. 6.まとめ:人事部と各部署の連携が不可欠な施策


RJP(Realistic Job Preview)理論とは

RJP理論とは簡単に説明すると、企業のあらゆる情報を求職者にありのまま伝える採用方法のことです。アメリカの産業心理学者であるジョン・ワナウス氏が提唱した理論といわれています。


RJPは「Realistic Job Preview」の略語で、日本語では「現実的な仕事情報の事前開示」という意味です。RJP理論が唱えられた1970年代のアメリカにおいては、求人情報には求職者にとってポジティブな内容だけを書き、多くの応募者を集めることが普通でした。しかし、実際に入社すると、事前に聞いた条件とは大きく違うことがあり、トラブルに発展することが多かったのです。


例えば、求職者や学生にとっては「入社前に聞いた条件と違った」「仕事内容が違う」といったギャップや、企業側にとっては「思った通りの成果を上げてくれない」といったギャップが散見されました。


そのため、こうした採用方法へのアンチテーゼとして、会社のポジティブファクターだけでなく、ネガティブファクターも含めてありのままを伝える必要性を同氏は説きました。そして、RIP理論の活用によって、自社の抱える課題や仕事の厳しさなどを求職者や学生へありのまま伝えることで、入社後のミスマッチを減らす取り組みをはじめる企業が現われるようになったのです。



RJPが注目されるようになった背景


RIP理論が注目されるようになった背景には、日本における採用市場の変化があります。


日本の採用市場は、2019年以前までは少子高齢化による労働人口減少の影響もあり、完全な売り手市場でした。そのため、求職者や学生にとっては企業を選びやすい状況だった半面、企業側にとっては優秀な人材の採用が非常に困難な状況だったといえます。実際、求人広告を出しても、期待どおりの応募数が得られないケースが散見されました。


こうした状況だったこともあり、各企業はこぞって自社の優位性や競争力、社内の雰囲気の良さや労働環境のすばらしさなどをアピールすることで、なんとか人材を確保できていたという状況です。しかし、各企業では新人研修が終わり、ようやくこれから現場で働こうとした矢先に、社員が突然退職するケースが相次ぎました。


そのもっとも大きな理由のひとつが、求職者や学生と企業側のミスマッチです。「入社前に聞いたイメージと違う」「仕事内容が厳しすぎる」といった、入社前後のギャップが発生し、離職率が増加したケースが散見されました。


このようなミスマッチが発生した原因は、一言でいえば求職者や学生に対して、入社前に十分な情報が提供できなかったことに尽きるでしょう。応募数を増やすためにポジティブな内容ばかり訴求していた企業においては、「労働環境が過酷」「人間関係がギスギスしている」「実は残業が多かった」など、ネガティブな要素が入社後に判明することがあるため、大きなギャップが生まれる可能性は高いでしょう。


特に新卒採用の人材は早い段階で辞めれば、第二新卒扱いになることから転職に対してデメリットがほぼないため、すぐに離職してしまいます。しかし、企業側としては戦力になる前に辞められてしまうと、これまでの採用活動や教育コストなどがすべて水の泡になるわけです。


したがって、早期離職率を減らすためには、求職者や学生と企業側のミスマッチを減らす必要があります。会社の実情をありのまますべて伝えておけば、入社前後のギャップが少なくなり、長く働いてくれる可能性が高くなるでしょう。こうした背景から、近年RJP理論が多くの日本企業から注目を集めており、優秀な人材を獲得して育成することで企業の競争力を上げ、収益向上につなげる取り組みがなされているのです。



RJP理論の具体的な効果

RJP理論には4つの具体的な効果があります。それぞれどのようなものか解説します。


ワクチン効果

RJP理論の一つ目の効果がワクチン効果です。


ワクチン効果とは文字通り、予防接種などのように免疫をつける効果といえます。つまり、入社前に企業のネガティブファクターを求職者や学生に伝えておくことで、入社前後のギャップを抑える効果がワクチン効果です。


例えば、若者が自由に企画を立てられるという触れ込みの企業においては「企画書が通過するのは10本に1本あるかないか」「事業性をきちんと説明できないものはNG」といった、シビアな条件があることを事前に求職者や学生へ伝えておくべきでしょう。これにより「なんでもかんでも自由にやらせてもらえる自由な会社」と勘違いする可能性が少なくなります。


一方、フレックスタイムやテレワークを導入した、働きやすい労働環境を謡っている企業が、実は「繁忙期の残業は40時間以上、繁忙期は四半期に一度やってくる」という状態だったとしましょう。この場合は、四半期に一度は残業が多くなることを事前に知らせておかなければ「適正なワークライフバランスが取れると思って入社したのに話が違う……」というギャップが生まれ、離職してしまう可能性が高まるリスクがあります。



スクリーニング効果

RJP理論の2つ目の効果が、スクリーニング効果です。


スクリーニングとは審査や選考、ふるい分けという意味で、複数の選択肢の中から特定条件のものだけを抽出する作業を指します。つまり、スクリーニング効果とは、複数の企業の中から自分に合った条件の企業を探し出せる可能性が高まる効果といえるでしょう。


求職者や学生の多くは複数の企業に応募しているため、与えられた情報の中から自分に合った条件の企業を選別します。そのため、求職者や学生に企業側の情報がすべて伝わっていなかった場合は、誤った判断を促してしまう可能性があるでしょう。


例えば、入社から3年以内の新入社員には、営業職を担当させることが慣例化している企業があったとしましょう。技術職を希望している求職者や学生の中には、この条件がネガティブファクターに該当する可能性も高いため、この情報をあえて伝えずに採用活動を進めるケースもあります。しかしこの場合は、入社後にミスマッチが発生する可能性が高くなるでしょう。


一方、営業職はビジネスのいろはを学ぶために丁度よい経験が積めることから、顧客目線のサービス開発などに役立つと考える求職者や学生にとっては、ポジティブファクターとして捉えてもらえる場合があります。その結果、企画職の募集においても、営業職を担当しても問題ないと思う人材が獲得できる可能性が高くなるのです。



コミットメント効果

3つ目の効果はコミットメント効果です。


コミットメントとは委託や公約、言質、参加などを表し、自らが責任をもって物事や事象に関与するという意味といえます。よって、コミットメント効果とは、ネガティブファクターを正直に求職者や学生へ伝え、企業側の誠実な思いを分かってもらうことで、エンゲージメントを強化する効果といえるでしょう。


また、ネガティブファクターを承知のうえで入社した人材は、仕事のネガティブ面やデメリットも折り込み済みで職務を全うしてくれる可能性が高くなります。これは「一貫性の法則」と呼ばれる作用で、自らの発言や信念に対して、一貫性のある行動を取ろうとする人間の心理です。


すべての条件を聞いて納得したうえで入社した人材は、企業において貴重な戦力になり得る可能性が高いでしょう。



役割明確化効果

RJPの4つ目の効果は、役割明確化効果です。


役割明確化効果とは、企業側が入社後にアサインするポジションや職務内容を詳細に伝えることで、求職者や学生が自身の役割やミッションを深く理解し、意欲的に働いてもらえる効果といえるでしょう。


企業側の情報を包み隠さず伝えるということは、入社後の職務内容や労働環境が詳細に把握できるということです。そのため、入社前後のギャップが減り、ミスマッチの発生を抑制できるでしょう。



日本企業がRJPを取り入れるメリット

RJP理論を日本企業が導入するメリットは、前述したワクチン効果、スクリーニング効果、コミットメント効果、役割明確化効果という4つの効果が発揮されることで、採用時のミスマッチを減らせる点が一番です。


そして、それを実現する3つの副次的なメリットがあります。また、それに加え2つのメリットも得られるでしょう。



採用後のギャップを防いで離職率を抑える

前述したワクチン効果と役割明確化効果によって、求職者や学生は企業のポジティブ・ネガティブファクターを含めた、多くの情報を入手できることで、納得感をもって入社します。そのため、採用前後のギャップも少なくなり、離職率を抑える効果が期待できるでしょう。


例えば、営業職の求人の場合であれば、


・ルート営業が基本

・新規開拓の飛び込み営業もある

└電話やメールなどのアポイントが非常に大変

└門前払いで追い返される可能性が非常に高い

・個人タスクとノルマがある

・クライアントが土日・祝日対応を希望する場合もある


といった入社後の業務に関する詳細な情報を、事前に求職者や学生へ伝えておくことで、ワクチン効果によって「営業職はハード」という免疫がつきギャップの発生を抑制できます。


また、役割明確化効果によって、ハードな新規開拓営業の場で働くことを理解し、自分を鼓舞しながら意欲的に職務を遂行してくれる可能性が高くなるでしょう。つまり、求職者や学生は入社後の状況について理解し、覚悟をもって職務を遂行してくれるようになるため、短期での離職防止につながる効果が期待できるのです。



求職者からの高い信頼を得る

企業側から求職者や学生へ、すべての情報を包み隠さず開示することでコミットメント効果が生まれ、高い信頼が得られるでしょう。正直で誠実な企業側の姿勢が求職者や学生に伝わることで、信頼度が大幅にアップします。


例えば「有給は年間20日」「フレックスタイムを導入」「働きかたが選べる自由な社風」と謡っている企業が、入社してみたら実は「有給を使える雰囲気ではなかった」「フレックスで出社すると白い目で見られる」「リモートワークは実施しているけど、ほぼ毎日オフィスに出社」だった場合などは、「こんなはずじゃなかったのに……」と思う方がいても仕方ありません。騙された、裏切られたという気持ちが強くなり、離職につながる可能性が高くなるでしょう。


求職者や学生にポジティブファクターだけしか伝えず、入社後にネガティブファクターも実はたくさんあることが発覚した場合は、企業側への不信感を抱く可能性が高くなります。また、こうした噂は口コミサイトやSNSなどで広がりやすいため、企業の信頼度が下がり企業価値が下がる可能性もあるでしょう。


しかし、事前にネガティブファクターも包み隠さず伝えておけば、求職者や学生に対して「この企業は信頼できる」という印象を与えられるでしょう。そして、入社後も企業側とのエンゲージメントが高くなり、愛社精神や帰属意識が高まる効果が期待できます。したがって、長く意欲的に働いてくれる、企業にとって貴重な人材の確保につながるのです。



職場の人間関係が良好になる

RJPのスクリーニング効果によって、求職者や学生は自分に合った条件の会社へ納得して入社するケースが多くなります。つまり、企業側と相性のよい母集団を獲得できるため、採用に結び付く可能性が高くなるということです。


また、役割明確化効果によって、企業の中で自信が何をするべきかが把握できている人材が増えれば、同じ志を持つ仲間が社内に増え、ミッション達成に向けたベクトル合わせもしやすくなるでしょう。そのため、職場の人間関係が良好になる効果が期待できます。


一方、ネガティブファクターを知らされずに入社した人材がギャップを感じると、企業や組織に対する不満が生まれ、仕事の愚痴や企業への悪口などを発することが多くなり、職場の人間関係が悪化する可能性が高くなるでしょう。



応募者の質向上とコスト削減効果

スクリーニング効果によって、企業側は自社に最適な人材が集まる母集団を獲得しやすくなります。つまり、RJPの導入によって、応募者の質向上につながるのです。


自分にとってネガティブファクターに該当する内容を知った求職者や学生は、求人募集に応募してくる可能性が低くなります。そのため、応募までたどり着いた求職者や学生は、自社にマッチした人材である可能性が高いのです。


一方、企業側が求める人材に近いエントリーが多い場合には、採用担当者がエントリーシートを確認し、選考する時間も少なくなるでしょう。そのため、選考にかかる工数の削減効果が期待できます。


採用活動を実施する際には、募集から面接、選考という作業はもちろん、入社後の研修や教育など、さまざまなシーンにスタッフを配置しなくてはいけません。したがって、選考にかかる工数が削減されれば、その分の人件費削減にもつながるわけです。


さらに、応募者の質が高まることで、採用率の向上や離職率の低減につながることから、面接や選考に必要なコストだけでなく、入社後に発生するコストの削減にもつながるでしょう。



RJP理論のデメリット・注意点

ここまでRJPのポジティブな面を中心に紹介してきましたが、デメリットや活用時の注意点もあるため確認しておきましょう。



ネガティブな情報公開によるイメージ低下リスク

RJP理論を活用して採用活動を実施する場合は、ネガティブファクターの公開によって、企業イメージが低下するリスクがある点に注意が必要です。そのため、情報を公開する際には、ポジティブファクターとネガティブファクターのバランスに細心の注意を払わなくてはいけません。


社内の情報を包む隠さず正直に伝えることで、入社後のミスマッチを抑制することにはつながるでしょう。しかし、例えば「業績が厳しい」「市場における競争力が低い」「年功序列で縦社会」といった、あまりにもネガティブファクターばかり伝えてしまうと、求職者や学生がその企業に魅力を感じなくなってしまいます。


したがって、企業側のポジティブファクターをしっかりと伝えたうえで、それを実現するためのネガティブファクターがあることもバランスよく伝えることが大切です。「やりがいはあるけど、その分労働時間は長くハード」「給料は高いけど、成績次第」「仕事はきついけど、人間関係は最高」など、単純にネガティブファクターだけを伝えるのではなく、ポジティブファクターの一要素に見える工夫をこらすとよいでしょう。


また、ネガティブファクターを発信する際には、本来は知らせる必要がない求職者や学生にまで伝わるため、企業価値やブランド低下につながる可能性がある点もリスクといえるでしょう。



人事部と受け入れ部署で認識を擦り合わせる

RJP理論を活用して採用活動を実施するのは、基本的に人事部のスタッフが中心になると思います。そのため、人事部と受け入れ部署の間で、社内情報についてしっかりと認識を合わせておくことが必須です。


両者の理解に齟齬がある場合には、入社後にミスマッチが生まれる可能性が高くなります。例えば、仕事の難易度や内容が異なったり、発信していなかったネガティブファクターが入社後に発覚したりするケースが想定されるでしょう。最悪の場合、受け入れ部署が望んでいない人材が配属され、誰も得をしない状況にもなりかねません。


社内情報の精査を実施せず、中途半端な情報を伝えてしまうと、求職者や学生からの信頼を失うだけでなく、採用活動の精度や企業価値の下落につながる可能性もあるでしょう。したがって、PJP理論を活用した採用活動を実施する際には、人事部と受け入れ部署間の情報連携を密に取ることが必須です。



RJP理論を取り入れる方法

RJP理論を採用活動に取り入れるために、導入ガイドラインとおすすめの導入方法を紹介します。



RJPの導入ガイドライン

RIP理論を採用活動に導入する場合には、以下5つのガイドラインに沿って実施する必要があります。


1:RJP理論の目的を求職者や学生に対して事前説明を実施したうえで、正直に包み隠さず情報提供を行い、十分に検討してもらった後、自分自身で決めてもらうように促すこと

2:発信する情報にマッチしたメディアの選定、および情報の信ぴょう性担保を確実に実施すること

3:客観的な情報だけでなく、現役社員の仕事や組織に対する生の声を含めること

4:企業の実態に即した形で、ポジティブファクターとネガティブファクターのバランスに考慮すること

5:採用プロセスの早期段階で実施すること

上記はあくまでも基本的なガイドラインになるため、実際の活用方法は企業ごとに異なります。自社の事情を考慮し、最適な形で活用しましょう。


RJP理論のおすすめ導入方法

RJP理論を採用活動に導入する際、おすすめの方法がインターンシップです。インターンシップは以下の理由から、RJP理論との相性がよいといわれています。


・実際に現場で働くことで、企業のポジティブファクターとネガティブファクターを肌で感じられる→自分にマッチした企業か正確に判断できる情報が得られる

・企業のありのままを見せられる→求職者や学生に誠実性が示せる

・現役社員と直接関係性が築ける→生の声が聞ける


インターンシップとして企業内部で実際に働くことで、求職者や学生にとっては非常に有益な情報が得られる機会となります。一方、企業側にとっても、すべての情報をありのままに伝えられる点と、入社後のミスマッチがないか事前に確認できる点が大きなメリットです。


すべての採用活動にいきなりRJP理論を導入することは、前述したリスクなどもあるためハードルが高いでしょう。しかし、インターシップから部分的にRJP理論を導入する方法であれば、比較的実施しやすいためおすすめです。



まとめ:人事部と各部署の連携が不可欠な施策

RJP理論は企業のすべての情報を包み隠さず、求職者や学生に開示する必要があります。そのため、人事部と各部署の連携が不可欠な施策といえるでしょう。


また、発信する情報はすべて真実であることが前提になります。業務内容や職場環境人間関係など、あらゆる面において外部に発信した情報との整合性が取れていなければいけません。その意味においても、人事部と各部署、経営層に至るまで、全社横断的に連携が必要な採用方法といえます。


RJP理論は社内調整が大変ですが、採用活動におけるミスマッチを減らし、離職率低減やコスト削減といった多くのメリットが得られます。まずはインターンシップなどで局地的に導入して、その効果を実感した後、本導入を検討してみてはいかがでしょう。











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